こんにちは。
muucの村松です。
月1回をめどにお送りしている「muuc零れ話」。
今回は、いよいよ始まる新シーズン2025年春夏コレクション(以下「25SS」)について、いくつかお伝えしたいと考えています。
++++++
★muucのコレクションの発想と制作プロセス
25SSのお話の前に、普段muucのコレクションをどのように制作しているかについて。
実はインスピレーションの源は、日々の生活にひそんでいます。
それこそ散歩で見た景色にはじまり、旅行で訪れた美術館、出張先で出会った人とのなにげない会話にも。
また、私たちはお客様や職人さんと直接お話しする機会も多いので、お客様の反応や、生地・糸メーカーさんとのディスカッションなどなど。
きっかけはいろいろですが、そこから新しい作品の構想を膨らませて、それを作品やコレクションに落とし込んで制作しています。

★25SSコレクションの特徴的な表現・テキスタイル
そこで、今回の新作25SSコレクションですが、これはお話しし始めるときりがないので、いくつかの特徴的な表現についてご紹介したいと思います。
たとえば、下の画像の花モチーフのカット刺繍。これは10年以上前に刺繍工場さんから教えてもらっていて、頭の中にも常にあった技法・デザインなのですが、いままで自分の中でうまく落とし込めずにいたので、実際に作品にすることができませんでした。
それが今回、この技法がふと心に響き、25SSコレクションの大切な表現の一つになりました。
一枚一枚、花の形に沿ってハサミでカットするなど手作業がたくさん発生するのですが、こうした繊細な仕事を手伝ってくれるANDWOOLのニット職人さんたちの存在も心強く、今回こうして実現しました。


こちらの画像1枚目は、家の前に咲いていた紫陽花の花です。散歩のときに、なにげなくカメラに収めましたが、この花の集まりがとても美しく魅力的だったので、どうにかテキスタイルに落とし込みたいと試行錯誤して生まれたのが、25SSコレクションの「あじさい線画刺繍」シリーズのテキスタイルです(画像2枚目)。
この表情を刺繍で表現するには大きなコストがかかるため、デザイン(イメージ)と生産性(コスト効率)をすり合わせるのに、たいへん苦労しました。
かかるコストを無視すればどんな表現でも望むままなのですが、実際は決してそうはいきません。私自身が表現したいこと、工場さんの生産性(や現実的な『都合』)、そしてお客様にとって一番大切な販売価格。毎シーズン、この三つのバランスを取ることが難しく苦労しています。


もう一つ例を挙げるなら、自分たちのデザイン観を活かしつつ生産効率も求めるために、今回、新しくポリエステル素材の凹凸加工の表現にも挑戦しました。これが下の画像の地面柄凹凸シリーズです。
とある展示会で、この加工場さんと知り合ったのがきっかけで、この生地・この表現の可能性を知りました。コレクションの中で、さらにはmuucというブランドの中で、少しピリッとアクセントになるような、ファッションが楽しくなるような生地が、そしてこれをつかった服とバッグができあがったと思います。
こうした新しい表現の可能性についても、今後より追求していきたいと考えています。


★25SSコレクションの展開がまもなく始まります
25SSコレクションの新作たちは、もうまもなく店頭・オンラインストアに並びます。数型ずつ順次リリースされていきますので、ぜひ多くのお客様にお楽しみ頂けましたら幸いです。
改めまして、今回の25SSコレクションは、幅広いお客様にとってコーディネートしやすく、日々の生活に取り入れていただきやすい服になったと思います。
春夏時期の気温は年々上がっていますし、どのような服をつくるのが正解なのか、毎年悩まされますが、自分たちとしては、やはり天然素材の服が気持ちよく着られると感じているので、今回も天然素材をメインにつかい、着心地の良さも強く意識してつくりました。
お洒落に、そして上品に。かつ、心地よく私たちの服を楽しんでいただければと思います。
そして何より、服はお客様に着ていただいてこそだと思いますので、これからお客様のお手元にお届けして、どのような反応をいただけるか楽しみであるし、もちろん身が引き締まる想いでもあります。
皆様からのフィードバックをいただいて、自分自身と、そしてスタッフと対話をしながら、次のシーズン、そして今後の服作りに活かしていきたいと考えています。
どうぞ新シーズン、2025年春夏コレクションも、どうぞよろしくお願いいたします。
muuc
村松啓市