ただいま展開中のmuucの2024年秋冬コレクション(以下、「24AW」)について、当ブランドの提携ショップ様の目線でご紹介頂いているコレクションレポートを、前編/後編の2回に分けてご紹介いたします。
★ muuc 2024年秋冬新作 コレクションレポート
- 前編:新作ニットアイテムのご紹介 >本ページ
- 後編:新作布帛(織り地)アイテムのご紹介 >こちらから
私たちブランド内のスタッフではない「第三者目線」で、コレクションのほぼ全点にわたり幅広く紹介されているので、お客様皆様にもご参考にして頂けるかと思います。ぜひご一読頂けましたらと思います。
また、以下で触れる各アイテムについて、オンラインストアへのリンクもご案内していますので、合わせてご利用くださいませ。
本ページは全2回(前編・後編)のレポートの前編(LOOK1)で、24AWの新作ニットコレクションについてのご案内です。
LOOK1:muuc24AWのニットコレクションのご紹介
- 本レポートの引用部分の出所はすべてブランド資料です。
- 本コレクションレポートで掲載しているサンプルの着用画像は、すべて身長160cmの女性がモデルをつとめています。
- 洋服のサイズ展開は、フリーのワンサイズがほとんどです。一部のアイテムで2サイズ展開されていますが、それらについては本文で触れています。
LOOK1-1: 花柄ジャカードニット2型
◇素材について
前身頃では、天然アンゴラ山羊の希少な天然モヘアとシルクを掛け合わせた、高級シルクモヘア糸を採用しています。この上質な糸と緻密な編み地で、タッチとしてはやわらかくなめやかな、雰囲気としては上品で大人っぽい質感のニット生地に仕上がりました。
またこの糸の繊維は細くしなやかで、それゆえ光沢感と発色性に特に優れています。
さらに、一般的なモヘアは芯糸に化学繊維をつかうことが多いですが、芯糸にも贅沢にシルクをつかうことで、さらなるやわらかさと程よい光沢が生まれています。
後ろ身頃にも、上質で柔らかい高品質なウール100%の糸を使用しました。
◇アイテムについて
時代が移り変わっても、美しく。
時代や年代が変わっても愛される、ヴィンテージ服にもなれるような花柄ジャカード柄を意識してデザインしました。ニットのテクニックはダブルジャカードという編み方です。
レッドでは、葉部分にあえて段染め糸をつかうことで、色が重なり合う美しさを強調しました。グレーは、様々なシーンやスタイルにも合わせやすいように、シックな色合いになるようデザインしました。
久しぶりにリリースされた、ブランドオリジナルのジャカード編みによるアイテムです。
形はベストとカーディガンの2型です。ベストはフリーのワンサイズ、カーディガンは「2」と「3」の2サイズ展開で、画像では小さい方のサイズ「2」を着ています。色はレッドとライトグレーの2色展開です。
特に「価格VS価値」の観点で、巷で見つけることは困難であろう圧倒的なクオリティで、生地(←糸)の上質感、柄の上品さ、ディテールの作り込みなど、数ある柄物ニットと一線を画していると感じます。
編み柄や質感、そして色合わせもオトナらしくとても上品なのですが、それも高級モヘヤにシルクも混ぜることで、ツヤの上がりや柄そのものに立体感が生まれ、とても表情が豊かなニットになっています。
デザイナーの村松さんが「ヴィンテージのような懐かしい風合いを目指した」というレッドでは、葉が多色づかいで編まれている繊細さです。全体がモノトーンの落ち着いたデザインのライトグレーは、(画像では分かりにくいのですが)シルク糸による柄の立体感が、いっそう際立ちます。(画像1枚目&2枚目)
また裾や長袖の袖先など本来リブ編みが用いられる袖先や裾先も模様編みという、muucらしいディテールもにもウットリさせられます。(画像3枚目&4枚目)
ブランドが生地の手前の「糸の上質さ」に強いこだわりを持っていることもあり、着心地は驚くほどにふんわりやわらかく、もちろん軽くてチクチクはありません。
ベストは前身頃の着丈が短めなので、ハイウエストのスカート&ボトムスと合わせると下半身をとてもスッキリしたシルエットにすることができます。それなので、本来はベストとの相性はあまり良くないワンピースの上から着ても膨らまず、とてもカッコ良く着ることができます。
カーディガンはmuucの定番的な形&シルエットで、実績のある万能アイテムです。ボタンをしめるとプルオーバーのような見せ方で着られることも、この形の大きな魅力です。つくりの良いカーディガンは、前のボタンをしめたときの柄合わせが美しく、とてもステキに着られます。
(なお、ライトグレーのカーディガン=「サンプル」に付いているボタンは普通のホワイトですが、「商品」にはボディと同色のグレーに製品染めされたボタンが付いています。)
スタイリングでは、レッドのベストは葉の柄でもつかわれている色であるブルーのスカートと華やかに合わせて、ライトグレーは全身モノトーンでシックにおさめてみました。
いろいろなスタイリングで差し色&差し柄になってくれる、上質な普段着として、日々大活躍してくれると思います。
★オンラインストア (お買い上げや、寸法など詳細な情報)
LOOK1-2: リーフ模様・アルパカシルクモヘヤのニット2型
◇素材について
南アフリカのキッドモヘア、ペルーのアルパカ、それとオーストラリアのウールを合わせて起毛加工した、毛足感のある、やわらかい風合いが魅力的な高級毛糸をつかっています。
毛玉ができにくく、空気をたくさん含むためとても暖かいという特徴もあります。
アルパカモヘヤ糸に、さらにシルクモヘヤ糸を1本引き揃えて編んでいるので、シルクモヘヤの上品な光沢もプラスされ、またよりふわっとした質感に仕上がっています。
緻密で凝ったリーフ模様編みが、華やかでありながらとても上品な印象があるニットです。
◇アイテムについて
素材が軽く柔らかいため、ゆったり&ふんわりの着心地ですが、シルエットが大きくなりすぎないため着合わせがしやすく、様々なスタイリングをお楽しみいただけます。
カーディガンのボタンは、ボディに合わせて製品染めたものを採用するなど、ディテールにもこだわったシリーズです。
アルパカシルクモヘヤの糸は、ここ数年のmuucの秋冬ニットでは欠かせない素材で、この糸は高級ウール糸を超えるレベルで「軽い」「温かい」「毛玉になりにくい」「チクチクしない」というきわめて高い機能を誇る上に、「発色が良い」というとても大きな魅力をも備えます。
昨年の2023年の秋冬コレクション(23AW)でリリースされ、たいへんご好評を頂いたこの糸のレッドをつかったニットは、これ以上ないというくらいの美しさでした。レッドの発色の見事さに、シルク糸やモヘヤ糸の光沢もあって、たくさんのオーダーを頂きましたし、どこで販売してもとても良い実績でした。
そして今回24AWも、そのレッドにまったく引けを取らない鮮やかなピンクと、23AWと同じライトグレーの2色展開で、形は新型でリリースされています。
ピンクは私たちも当初は驚きましたが、よく考えてみると、前身ブランドであるeverlasting sprout時代には相当よくつかわれていた記憶があります。この鮮やかで跳ねるようなネオンピンクの色味も、糸によってはくすんでしまって実現しない色だと思います。
それからこれも驚いたのは、これはもう糸・生地の上質さあってこそだということだと思いますが、やわらかな質感や精巧な編み地の美しさが際立ち、「派手」とか「奇抜」とかいった気持ちをまったく抱かなかったことです。むしろ高級感が漂う印象です。
たとえばここで着ているようにデニムパンツなどカジュアルなボトムスとの相性はすこぶる良く、またどんなスタイリングで合わせても強い差し色になってくれるので、コートの下とかに忍ばせて自分自身ウキウキしながら歩きたいです。簡単な色ではありませんが、これはぜひ試してみたいと感じます。
あとは「この色を待っていた!」という方に届いて欲しいです。この最高級の糸で「極上のピンクニット」を手に入れられる、またとないチャンスだと思います。
この糸のライトグレーは光沢があり、シルバーグレーと呼びたくなるような美しさです。こちらは手堅い定番色でもあり、普段づかいしやすいです。
形はカーディガンとプルオーバーの2型展開です。
プルオーバーは「2」と「3」の2サイズ展開で、画像では大きい方のサイズ「3」を着ています。ゆったりのフィットで、見た目も実際もとてもリラクシングです。サイズ「2」はこれより着丈が5cmほど短くなり、身幅はぐるり一周で6cmほど小さくなります。ここで着ているモデルと同じ身長160cmくらいであれば、完全に好みで選んで頂くのが良いと思います。
*次のLOOK1-3でご紹介するアイテムですが、プルオーバーのサイズ感のイメージです。画像1枚目がサイズ「2」、画像2枚目がサイズ「3」を着ています。
カーディガンはフリーのワンサイズです。
それからもう1点。実はこちらもとても重要なポイントなのですが、昨年までのアルパカシルクモヘヤニットと比べると、明らかにボリューム感が増しています。
もともとモヘヤの毛羽立ちという特性を活かして、薄くしなやかに仕上げていたこのニットシリーズですが、24AWについては「前期比で1.5~2倍くらいの糸量をつかっていると思います」(村松さん)。
それなのでスタイリング画像をご覧頂くとクラシカルなローゲージニットやらカウチンやらを着ているようで、かなりシブくてカッコ良い雰囲気になっていると思います。ただ実際の着た感は、アルパカシルクモヘヤ糸ならではの極上の軽さとふんわりの心地良さなので、とても驚かれることと思います。
この糸×この分量×このデザインでは、驚くべきリーズナブルさです。この点にもぜひご注目下さいませ。
◇オンラインストア (お買い上げや、寸法など詳細な情報)
(ピンクはボタンもすごくかわいいです。muucのボタンはシェルの製品染めで、各ボディに合わせてつくられていますが、このピンクボタンだけでもバツグンにかわいくて欲しくなります。)
LOOK1-3: ケーブルパッチワーク・ウールカシミヤのニット2型
◇素材について
弾力性や耐久性があるシェットランドウールと、きわめて軽くて保温性も高く、ツヤ感もあるカシミヤをブレンドした糸をつかっています。
それぞれの特徴をいかして編み上げることで、立体的で華やかな編み目の生地に仕上がりました。ふっくら&もっちりの質感で、やわらかく軽く暖かいです。バルキーな風合いながら、気持ちの良い肌ざわりです。
柄の模様編みについては、技法の異なる5種類の編み方(ダイヤ・葉っぱ・枝・縄・縄レース)を、パッチワーク風にデザインしています。どこか懐かしく、やさしい雰囲気とモードで大人な表情とを併せ持ったニットに仕上がりました。
◇アイテムについて
プルオーバーは、ゆったりした着心地ながら、腕周りはスッキリ見えるようにデザインしています。華やかな模様編みですが、カジュアルすぎたり、着ぶくれして見たりはしません。着たときに上品に見えるニットです。
ベストは、アームホールが広くて腕を動かしやすく、袖にボリュームがあるインナーとも違和感なく合わせていただけます。襟はハイネックとしても折っても着られますので、様々なスタイリングをお楽しみください。
ブルゾンについては、着丈を短めにすることで、コンパクトなニットジャケットになるようデザインしました。カーディガンとして、ショートジャケットとして、幅広くご活用頂けます。
注:「商品」の着丈は、ここで着ている「サンプル」と比べると5cm長くなっています。ヒップの上の方にかかるくらいの着丈なので、サンプルより着やすい丈になっています。
今季24AWでご紹介する3種類目のニットは、カシミヤ混のシェットランドウール地によるベーシックなケーブル編みのニットです。
「シェットランドウール」というと、硬くてゴワつきチクチクする「あの質感」をご想像になるかもしれませんが、こちらの実物の質感は、やわらかくしなやかでチクチクしないと、すべて真逆です。カシミヤ混なので軽さもあります。シェットランドウール×カシミヤって、すごいハイブリッドですよね。
muucが得意とするパッチワーク模様に見える精緻なケーブル編みはとても立体感があり、ベーシックな雰囲気ながらシルエットは洗練されている、本当に上質な普段着セーターに仕上がっています。
色はブルー・ベージュ・ブラウン・ネイビーの4色展開で、このブルーが24AWらしいですね。ベージュはアイボリー、ブラウンはライトブラウンの色味です。
形はベーシックなプルオーバーセーターと、襟元にファスナーのディテールが入ったベスト、そしてブランドでもたぶん初めてというファスナーの付いたニットブルゾンの3型展開です。
プルオーバーは「2」と「3」の2サイズ展開で、下の画像ではベージュで「2」、ブルーで「3」を着ています。着ているモデルと同じ身長160cmくらいであれば、完全に好みで選んで頂くのが良いと思います。
ベストは撮影できなかったので、ブランドの着用画像でご覧頂きます。
ネック部分にファスナーが入るディテールは、私たちも見たことのないデザインです。しっかりした生地なので、首元が立ち上がってカッコ良いです。
ニットブルゾンはフリーのワンサイズです。上でも書きましたが、ここで着ているサンプルと比べると入荷している「商品」の着丈は5cm長くなっています。サンプルはしっかりショート丈ですが、「商品」はセミショートくらいの合わせやすい着丈になっています。
上質でしっかりとしたウールニットで、たとえば東京の気候であれば真冬以外は十分アウターづかいもできると思います。
◇オンラインストア (お買い上げや、寸法など詳細な情報)
- パッチワーク柄ケーブル編み プルオーバー >ベージュ、キャメル、ネイビー、ブルー
- パッチワーク柄ケーブル編み ベスト >ベージュ、キャメル、ネイビー
- パッチワーク柄ケーブル編み ブルゾン >完売いたしました
LOOK1-4: ウォッシャブル・エクストラファインメリノウールのニット2型
イタリア・ビエラスタイルのレシピに基づきつくられた、エクストラファインメリノを採用しています。ふっくらとしつつもつるっとした表面が特徴の糸で編まれていて、肌ざわりはとてもやさしく、ほど良い光沢もあり高級感があります。
ご家庭で洗っていただけます。(洗濯機をご使用の場合は、洗濯ネットに入れて中性洗剤を入れて手洗いコースで優しくお洗濯ください。)
オフィスシーンはもちろん、スウェットなどと合わせることによりカジュアルなシーンにもおススメです。
秋冬シーズンに定番的にリリースされている、とっても上質なトップス兼インナーニットプルオーバー、今季24AWは前年23AWと同じシンプルなタートルネックタイプ(継続、画像1枚目)に、首元・袖先・裾先に模様編みが入る新作ハイネックタイプが加わって2型展開となっています。
秋冬シーズンに欠かせないシンプルなタートルネックニットと、一枚着でも絵になる模様編みのハイネックニット。これは嬉しいですね。
色はホワイト・グレー・グレイッシュブラウンの3色展開です。グレイッシュブラウンは、チャコールグレーがほんのりブラウンがかっているような色味です。ホワイトは生成りで、グレーもややブルーみがあり、それぞれ定番色ベースでありつつもその独特な色味が魅力的です。
2型いずれも「2」「3」の2サイズ展開です。いつも通りのサイズ感ですが、これもご参考までにホワイトで「2」をグレーで「3」を着ています。これも着用モデルと同じ体型ですとサイズ選びはお好みだと思います。
もともと、ブラウスやワンピースの下に着るインナーニットとして着られることが想定されていて、まるでコットンニットのようなつるっとした爽やかな質感で、もちろんチクチクは一切なく、安心して素肌に合わせて頂けます。またその名の通り、ご自宅で安心して水洗いもして頂けます。
一方、スタイリング画像でご覧頂けるように、そもそも生地に素晴らしい上質感があることに加えて、身頃のしなやかなシルエット、また模様編みのディテールなどで、これ自体を一枚着の薄手のトップスとして着るスタイリングももちろん「あり」です。
以下の画像4枚のように、着方はいろいろですが、それぞれ絵になります。かなり幅広く着られるニットだと思います。
◇オンラインストア (お買い上げや、寸法など詳細な情報)
- エクストラファインメリノウール タートルネックプルオーバー >完売いたしました
- エクストラファインメリノウール 襟元ケーブル模様プルオーバー >ホワイト、グレー、グレイッシュブラウン
LOOK1-5: 国産羊毛をつかった畦編みニット3型
◇素材について
『ジャパンウールプロジェクト』から生まれた国産ウール糸をつかっています。
国産羊毛の特徴でもあるコシの強さを残しつつ、近年好まれる傾向にある"柔らかいニット"に仕上げるために、オーストラリアのメリルウールを70%ほど糸に混ぜる調整をしています。
また、老舗のニット工場によるリンキングという技法によって縫製しています。高い技術を要し、非常に手間もかかりますが、ニットの魅力を最大限引き出す方法です。
◇ジャパンウールプロジェクトについて
20年ほど前までは日本でもウール糸の製造が行われていましたが、海外からの安価な輸入品がつかわれるようになり、国内工場の閉鎖などから国産羊毛を活用できない状況が続き、それは長く廃棄処分されていました。
国産羊毛の廃棄問題や輸入に伴うエネルギー負荷の観点から、今改めて「国産ウールを復活させよう」という取り組みが始まっています。それが「ジャパンウールプロジェクト」です。muucもこの取り組みの一部に参加しています。
◇アイテムについて
カシミヤのようなふわふわなニットとは異なり、シルエットがしっかり出るので、カジュアルになりすぎずビジネスシーンでもスタイルよく着ていただけます。
衿や裾にさりげなく模様編みを入れることで、シンプルながら上品な印象を演出しています。
デザインポイントのレザータグは、それを取り付ける作業を就労支援事業所に依頼するなど、就労支援の活動に繋げています。オフシロ・ベージュにヌメ色のレザータグ、ライトグレー・チャコールグレーにブラック色のレザータグがそれぞれ付きます。
目下、当社女性スタッフが2年間愛用中で、冬に一番着ているトップスだと思います。価格に加えてその見た目と実際の丈夫さから、安心してガンガン着られるので、結局一番よく着てしまうそうです。
下でも触れますが、ここまででご紹介してきた各ニットシリーズと比べるとチクチクやゴワつきもあり(←チクチクはそれでも控えめですが)、見た目そのままに質感もバルキーでワイルドです。シェットランドウールで編まれた古着のアランニットのようなカッコ良さがあります。
機能面ではやや劣るものの、価格面では圧倒的にリーズナブルなので、「とにかくいろいろ気にせずガンガン着まくれる、でも一定の品質のセーターが欲しい」という方に、自信を持ってオススメできるシリーズです。
muucのパターンで編まれているので、質感はワイルドであっても、着た感の気持ち良さでは「違い」を感じられることと思います。
以下では画像も含めて、過去のレポートの内容を引用し、一部修正を加えて再掲いたします。
このシリーズでは、最上流の原料である羊毛の一部がメリノウールである以外は、それ以外の羊(羊毛)が国産(北海道が主)で、毛刈り、洗い、染色、紡績と国内、そして編みと縫製ももちろん国内という、とても珍しい「国産のウール糸」がつかわれています。
もともと国内では食用で羊が飼われていて、基本的には羊毛は処分されているそうです。(ウール糸にするための工程に手間がかかりすぎる上に、現状では羊毛の経済的な価値が低いという認識のため) それを引用部分にあるように、有志が集まったプロジェクトで糸にして衣料用として利用するという取り組みが始まりました。
ただし、ヨーロッパやオセアニア産の「毛糸になるために飼われている羊」による毛糸とは、「羊の品種や、毛糸をつくる目的や生産環境も異なるため、衣料にするにはコシが強すぎる」(村松さん)ため、価格をギリギリまで抑えて、あとはmuucだからこそ生み出せるデザインとシルエットで、お客様に提案してみようと考えたそうです。
このジャパンウールシリーズの毛糸は(実際にはメリノが7割もつかわれているのにもかかわらず)、ゴワっとしていて固め・・・より分かりやすくお伝えするなら、汎用のシェットランドウールの毛糸に近い肌あたりです。
上でご紹介してきたシリーズの糸はいずれも高級糸で、ゆえに「チクチク」は皆無で、皆やわらかく軽く気持ち良いものばかりですが、この糸は素肌で着るとチクチクすると感じる方も少なくないと思いますし、「重い」というほどではありませんがそこそこ重量も感じます。
ただ、この質感こそが、かえってヴィンテージニットで見られるような、素朴で凜とした雰囲気を携えるのです。古着のニットは固くてチクチクして着心地は全然良くないのですが、でもそれでしか味わえないストイックなカッコ良さがありますよね。
ブランドがそれを意識してかせずか分かりませんが、他のシリーズで見られるような優美なケーブル編みなどは採用せず、これ以上ないくらい素朴でシンプルな畦編みで編んでいます。この畦編みの表情と、糸の質感が合っていて雰囲気が良すぎるんです。エイジングも絶対にカッコ良いと思います。
それと、ことニットの専門家たるmuucが率先して採用する糸ではないため、これまでにこういう素朴な雰囲気のセーターは展開されていませんでした。その意味でも、逆説的にとても新鮮に感じます。
「このセーターもこれはこれですごくおもしろいですし、これがあってmuucの高級糸による上質なセーターがあってっていうのがいいですよね。つくってみて感じました。」(村松さん)
価格も他のニットではあり得ない設定で、同じmuucの春夏シーズンであれば「カットソーTシャツ+α」くらいの価格です。他のシリーズと比べて、単に「品質の違い」というより、お好みで両方見て頂きたいというのが私たちの気持ちです。
色はオフホワイト・ベージュ・ライトグレー・チャコールグレーの4色展開、形はシンプルなセーターとベストの2型展開です。
セーターはグレーでサイズ「2」を、オフホワイトでサイズ「3」を着ています。糸の質感もあり、「3」を着た雰囲気もかわいいですよね。素朴なセーターって着るとかわいいんです。(着用モデルは、私物で「3」を買って着ています。)
このシリーズはベストも「2」と「3」の2サイズ展開で、ここではあえてベージュの「3」を着ています。ぜひご参考になさって下さいませ。
◇オンラインストア (お買い上げや、寸法など詳細な情報)
LOOK1-6:ホワイトカシミヤニットシリーズ(「アンドウール」ブランド、完全受注生産)
◇素材について
カシミヤ100%(モンゴル・ホワイトカシミヤ)を採用しています。
この糸は、1887 年創業の国内老舗メーカーがつくっている糸で、良質なカシミヤの産地として名高い中国の内モンゴル自治区産のカシミヤ糸(38mmを超える長さのホワイトカシミヤ)がその原料になっています。
ウールや他繊維の混入がないように、輸入されるまでに計3回も厳しい検査をおこなった正真正銘カシミヤ100%の素材を、国内で糸にしています。
この糸は、染色性が悪くなり風合いを損ねてしまうような漂白加工を一切せずに、独自の製造方法で、日本国内の染色工場と紡績工場で生産された毛糸です。
例えば、原料染色では低温染色を行い、できるかぎり繊維を痛めない工夫をしています。そのため、繊維自体がふっくらとしており、とてもやわらかい肌ざわりです。とてもきれいな水で染めているため、発色が良いのも特徴です。
◇アイテムについて
昔ながらの手編み機をつかい、人の手で編み機のキャリッジを動かして編んで作っているニットアイテムです。
編み機で編むときには、糸を張るテンションと、編地を下に引っ張るテンションが非常に大事です。それを人の手と目で具合を見ながら優しく編むことによって、コンピューター制御で作られるニット製品とは異なり、優しい編地の製品ができ上がります。
編んだ後に、ANDWOOLにより、特別な技法で加工しているため非常に柔らかい風合いに仕上がっています。
ベストは、フリーサイズのベーシックな形です。着丈は後ろ身頃だけ少し長めになっています。軽くて暖かい薄手のベスト、毎日のカジュアルシーン・オフィスシーンにもぜひご活用下さい。
セーターについては、手編み機で編んでいるので編み目が優しい上、肩には接ぎがない(=縫製がない)特別な編み方で編んでいます。ボトルネックにした襟と袖先・裾はリブ編みにして表情を変えました。
カーディガンは身幅にゆとりがあるフリーサイズで、襟は広げたり、ふわっと首周りにためたり、また上下をひっくり返して着ることもできるので、様々な着方を楽しんでいただければと思います。
muucではなく「アンドウール」ブランドのニットですが、毎秋冬シーズン、大きな反響を頂いているシリーズです。
アンドウールブランド内で最も高価なシリーズではありますが、その破格レベルの品質と比べると相対的には決して高くない・・・というより、常軌を逸したリーズナブルさであるため、想像を大きく上回るオーダーを頂いています。
グローバルな物価高と円安のなか、それよりもはるかに高水準のインフレが起きている動物繊維界隈で、いつまで安定的にご紹介できるか分かりませんので、「いつか欲しい」とお考えのお客様は、ぜひお早めにご検討頂けましたらと思います。
なお、こちらのシリーズでは、お客様からオーダーを頂いたのち、アンドウールのニット職人によって、1点1点手編み機で丁寧に編まれます。
以下では画像も含めて、過去の当社レポートの内容を引用し、一部修正を加えて再掲いたします。
ANDWOOLブランドより、「極み」と枕詞がつきそうな至高のセーターです。
カシミヤの中でも最高級といわれるホワイトカシミヤの糸のみ(素材構成100%)を採用し、ブランドが所有する旧式の手編み機をつかって、アトリエのスタッフが1点1点丁寧に編んで制作します。
ブランドが常にマイナーアップデートを続けていて、また新色もとても美しく、今回のサンプルの仕上がりは完璧だと感じましたので、本LOOKにてフィーチャーしてご紹介いたします。
そのとろけ落ちそうな質感はため息が出るレベルで、軽さ・やわらかさ・肌あたりの良さ・温かさなどすべてに置いて段違いです。機械編みではないので程よく"抜けている雰囲気"があり、人が本質的に気持ち良く着られるしなやかな風合いに仕上がっています。
そしてこれも上記の通り、アトリエで制作していることで対外的な工賃が発生しないため、このレベルのカシミヤセーターでは並ぶものがないくらいリーズナブルな価格が実現しています。
ANDWOOLはコレクションブランドではないので、基本的に色は糸在庫次第とのことです。現在のオーダーシートには全10色記載があり、定番色からビビッドな色まで1点からおつくりすることができます。
(ホワイト、ライトベージュ、ライトグレー、ベージュ、レッド、イエロー、オレンジ、ネイビー、チャコール、ブラック)
ここでご紹介している2型のうちボトルネックプルオーバーは、なんと充実の4サイズ展開(「2」~「5」)です。これも手作業ならではの展開ですね。
下で着用モデルが着ているネイビーのサンプルがサイズ「4」で、「リラックスフィット以上オーバーサイジング以下」くらい大きめで着ています。シンプルな形で、いつものサイズをお選び頂ければ間違いありませんが、このスペシャルなセーターをこんな風にゆったりふわっと着るのも良いですよね。
ベストはフリーサイズで、これは他のシリーズでリリースされているものと近く、形としては定番的なシルエットです。
◇オンラインストア (お買い上げや、寸法など詳細な情報)
プルオーバー
ベスト
カーディガン